様相論理 is Fun

様相論理の学習ノートです

MENU

集合的選択と社会的厚生

大学入試問題のデータベースというか、オープンなStudy AidをPHPで作ろう!と意気込んで(といっても意気込んだだけだが)、そのために、どんな判断基準で採否してるのかわからない前時代的な参考書(てめぇがデータの分析をしやがれ)と同じ轍は踏みたくないので、種々の評価関数に基づいて良問を評価したいと思っていて、そのために、積ん読中だった↓の本を再開する。

 

集合的選択と社会的厚生

集合的選択と社会的厚生

 

 

p.18の補題1*eの意味が最初読んだときにわからなかったが、次のように証明を言い換えると腑に落ちた。

 

まず、前置きから。

 

準順序が定義された集合$S$を考える。ここで、準順序とは、反射性($\forall x, xRx$)と推移性($xRy, yRz\Rightarrow xRz$)をみたす二項関係である.

 

$xRy$かつ$\neg(yRx)$のとき、$x$は$y$より厳密に選好されると言い、このことを$xRy$と表す.

 

$xRy$かつ$yRx$のとき、$x$と$y$は無差別であると言い、このことを$xIy$と表す.

 

また、$S$のこの準順序に関して、極大元($yPx$となるような$y$が存在しないような元$x$)全体からなる部分集合を$M$と表し、最良元(すべての$y$に対して$xRy$となるような元$x$)全体からなる部分集合を$C$と表す.

 

以上の準備の下、補題1*eの主張は次の通り

有限集合$S$における任意の準順序$R$に対して

\[(\forall x, y\in M, xIy)\Leftrightarrow C=M\]

 $\Rightarrow$は次のように証明される.

 

一般に$C\subset M$なので, $M\subset C$を証明する.

 

$xIy$は同値関係なので、この関係で割った商集合を$S/I$とし、その同値類を$[x]$のように表す. $R$から$S/I$における順序(割ったことで、反対称性が成り立つ)が自然に導かれる. これを$>$と表す.

 

仮定より、標準的な全射$p$による$M$の像$p(M)$は1つの元からなる. これを$[x]$とし、$[x]$が$S/I$における最良要素であることを示そう.

 

もし$S/I={[x]}$ならば、主張は自明である. そうでないとき, $[x]$と異なる元$[y]$をとる. $S/I$は有限集合なので昇鎖$[y]=[y_1]<[y_2]<\cdots$は途切れるから最長の昇鎖を$[y_1]<[y_2]<\cdots<[y_k]$とする. もし$[y_k]\neqq[x]$だったならば、$S$において、$y_k\not\in M$であり、$zPy_k$となる$z$が存在する. すると、$R/I$において、$[y_k]<[z]$となるが、これは昇鎖の最長性に反する. よって$[y_k]=[x]$.

 

このとき, 推移性より$[y]<[x]$であるから、$y$の任意性より$[x]$は$S/I$の最良要素である.

 

このとき$S$における$[x]$の逆像の元たちは、$S$における最良要素である.

 

以上から$M\subset C$.

 

(証明終わり)