義務論理について考える

義務論理(Deontic logic)について考えてみます

義務論理

A Next Step

前回記事と同じ記号を用いる。 umemura-wataru.hatenablog.com 前回記事の結果に加えて、新たに次の結果を付け加える。 *を、付値 f によって真偽が定まる様相演算子とする。ただし、f^~はブール束P^~から{0,1}への単調増加関数とする。このとき *(p⇒q)⇒(*p⇒…

A First Step

論理式全体からなる集合をPとし、Pをトートロジーであるという同値関係によって割った商をP^~とする。PからP^~への自然な全射をφで表す。 ブール束P^~からブール束{0,1}への写像はφによってPから{0,1}への写像に延長される。このように延長されたPから{0,1}…

トートロジーについて

付値を用いた様相論理の意味論を考える. 例えば、事象を表す論理式に対して、その事象が起こる確率を与える付値を考え、具体的には、事象を表す論理式pに対して、その値が1のとき□pが真、その値が0でないとき、♢pが真、と考えたり、あるいは、行為を表す論理…

アイデアのスケッチ

TODOリスト トートロジーの概念の整理 1で定めた意味において、K:□(p→q)→(□p→□q)がトートロジーになるような、付値の性質の特徴づけ 1.について 以前の記事では、トートロジー概念について混乱がある。 また、命題(論理式)全体をブール束と考えたけれども…

進捗管理

ナンセンスに終わる可能性もあるけれども、「付値論としての意味論」の構想について覚え書き ここでは、義務論理(Deontic Logic)のみを念頭に置く。 方針は次の通り。 行為を表す論理式(命題)に対して、真偽値のように、善悪のような値を考える。 ただし…

義務論理(Deontic Logic)のいくつかのパラドックスの解消 その2

義務論理(Deontic Logic)のいくつかのパラドックスを解消します。 その中でも、結合子「∨」、「∧」にまつわるパラドックスを解消します。 正確に言えば、SDL(Standard Deontic Logic)で不合理であるように思われてしまうトートロジーが、トートロジーでなく…

いろいろな付値と様相論理の意味論について

真偽値関数は命題全体がなすブール束から、ブール束{0,1}への準同型写像です。 真理値関数の類似の付値を考えて、意味論を展開します。 たとえば、必然□p(pは必然である)を、事象pが起こる確率が1、♢p(pは可能である)を、事象pが起こる確率は0でない、と解釈…

義務論理のパラドックスを解消する話

義務論理のパラドックスのうち、「Free Choice Permission Paradox」 Deontic Logic (Stanford Encyclopedia of Philosophy)と呼ばれるパラドックスについて考えます。その回避策を提示します。 パラドックスの生じる原因は、規範に関する言明における、オペ…

ベン図を使って様相論理の意味論を考える話 その3

2 つの命題変数 p, q を考え、真偽値関数に代わる付値を考える。 これは、行為を表す命題に対して 0 または 1の値を与える写像で、値1は善、値0は悪と解釈される。してもしなくてもよい行為の値を1と考えるので、正確に言えば、1は悪でないと解釈したほうが…

ベン図を使って様相論理の意味論を考える話 その2

様相論理の意味論を作るために、前回記事 umemura-wataru.hatenablog.com では、命題論理の真偽値を、ベン図に書き込んだけれども、ベン図を考えることは本質的ではないので、以降は、ベン図を想像するけれども、記述には持ち出さない。 われわれの目標は、…

ベン図を使って様相論理の意味論を考える話 その1

ベン図を使って意味論を考えます。 この記事では、最も卑近な例として、命題論理の場合を取り上げます。 後の記事では、様相論理(Dなど)の意味論が、同じくベン図を使って解釈できることを示す予定です。 正確に言えば、ベン図を考えることは本質的ではなく…

義務論理の意味論について(OB-Kの確認)その2

前回の続きで umemura-wataru.hatenablog.com 我々の意味論において、OB-K、つまり OB(p→q)→(OBp→OBq) がトートロジーであることを確かめよう。 左辺が真であるとする。このときJ(p∧¬q)=0である。 このとき以下の(i)~(iii)のいずれかが成り立つ。 (i) J(p)…

義務論理の意味論について(OB-Kの確認)その1

酔った勢いで久しぶりにアレなブログを更新する。 p, q, r, …を行為を表す命題変数とする。 真偽値関数をTで表す。 また、Jは、行為を表す論理式全体の集合から{0, 1}への関数で、次の性質を満たすものとする。 J(¬p)≧1-J(p) J(¬(¬p))=J(p) J(p∧q)≦min{J(…

義務論理の意味論について

p, q, r, …を行為を表す命題変数とする。 真偽値関数をTで表す。 また、Jは、行為を表す論理式全体の集合から{0, 1}への関数で、次の性質を満たすものとする。 J(¬p)≧1-J(p) J(¬(¬p))=J(p) J(p∧q)≦min{J(p), J(q)} J(p∨q)=max{J(p), J(q)} J(p)=1 であ…

行為の善悪について その3

結合子「∨」について p, q, r , ...を行為を表す命題変数とし、Jを行為を表す論理式に対して 0 または 1 の値を与える関数で以下の性質を満たすものとする。 J(¬p)≦1ーJ(p) J(¬(¬p))=J(p) J(p∧q)≧min{J(p), J(q)} J(p)=1 であることを、行為 p は悪でない、…

行為の善悪について その2

行為 p, q の善悪に対して、p∧qの善悪について考える。 p, q を行為を表す命題変数とする。 J は行為に対して、0, 1の値を与える関数で、J(p)=0 であることを行為 p をすることが悪であると解釈し、J(p)=1 であることを行為 p をすることが悪でないと解釈す…

行為の善悪について

真偽値の類似物として善悪値なるものを導入する。 真偽値は命題に対して与えられるが、善悪値は行為、あるいは行為についての命題に対して与えられる。 当然、善が真と、悪が偽と対比される。 ただし、二値論理にするためには、悪と非悪(optionalという語が…

義務論理の意味論について

義務論理の意味論 善悪が道徳的に正しい・正しくないを意味しているとすると、命題論理における真偽値の類推として、善悪値を考えることができそうなものである。ところが、善悪値関数あるいはそのような概念に基づいた義務論理の意味論の基礎付けは試みられ…